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新人教育におけるコーチングとは?

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新人が自己主導型学習を獲得するために、コーチングによる新人指導が重要になると考えています。ポートフォリオにおける指導においても、コーチングの考え方が応用できるので紹介したいと思います。

コーチングとは

コーチングは、対話を重ねることを通して、クライアントが目標達成に必要なスキルや知識、考え方を備え、行動することを支援するプロセスである。

コーチ・エィ: 新版コーチングの基本. 日本実業出版社. 2019.1; p14.

コーチングは、すべての人間が本来もっている、物事を解決したり、目標をかなえたりするために必要な力を引き出すための対話やアクションや人為的な環境作りをいいます。

鈴木敏江:ポートフォリオ評価とコーチング手法. 医学書院. 2006.4; p64.

ここの「支援」・「対話」という考え方が重要です。あくまでも「主導権は新人である」ということです。
指導者は主導権を握ることはなく、あくまでも支援者というスタンスをとり続けることが重要です。

ここで、コーチングの位置づけについて確認したいと思います。

参考:本間浩輔: ヤフーの1 on 1ー部下を成長させるコミュニケーションの技法. ダイヤモンド社. 2017. 3; p115
参考:コーチ・エィ: 新版コーチングの基本. 日本実業出版社. 2019.1; p16.

これらの位置づけまとめると、「質問(ASK)することによって新人の考えや思いに気づきを引き出し解決に導く」ことが、コーチングの基本であると考えられます。

コーチングの機能と特徴

❶「知識」と「行動」の溝を埋める
 ➡「わかっているのに、行動できない」ような状態の原因を引き出し解決を目指す。

❷強制ではなく放置でもない「第3の選択肢」を探す
 ➡「わかっているのだから、やりなさい」ではなく、やれない原因を引き出し、解決案(第3の選択肢)を提案する。

❸「本当に思っていること」を明らかにする
 ➡新人の学習戦略は様々かつ興味ある分野は違います。指導者が学習方法を提案するのではなく、新人が「どのような学習方法をしたいのか?」「どのような学習が必要だと感じているのか?」を引き出すことが重要です。

❹対話を通じて「想い」を「決意」に変える
 ➡たくさんある「~したい」の中から本当に必要でしたいと思っていることを明らかにし、具体性をもたせることにより、「~する」と決意させることが重要です。

❺2人で1つのキャンパスに向かうイメージ
 ➡常に課題や目標を共有しながら進めていくことです。

❻新人の「長期的成長の支援」も視野にいれる
 ➡最終的に自己主導型学習方法を獲得し、新人教育後も自立して学習し成長できるようにしなければなりません。現状の問題点の改善だけでなく、問題に対して自分で考え解決する術を身につけ生涯学習を続けられるように支援することが重要です。


コーチングにおける「目標」と「目的」

当然のことですが、目標設定をしなければ何にむかってコーチングをするのかわからなくなってしまいます。「何をやり遂げたい(目標)」のかをはっきりさせることが重要です。そして、目標のさらに先には目的があります。つまり「何のために(目的)」学習をするのかをはっきりさせることも同様です。

ポートフォリオにおける目標・目的について以下ように述べられています。

常にビジョン(目的)とゴール(目標)が見えることで目的意識をもって、ぶれずにゴールへむずからの意思で向かうことが可能となります。「何のために(目的)」「何をやり遂げたいのか(目標)」を常に掲げ、俯瞰することで客観的に考えることができ、クオリティの高い成果をもたらします。目標が明確なために、自分が何をどうすべきか、詳細にイメージすることで自身のパフォーマンスが向上するのです。

鈴木敏江:ポートフォリオで未来の教育-次世代の教育者・指導者のテキスト‐. 日本看護協会出版会. 2019.8; p8.

このように、ポートフォリオは元々目標設定をしっかりたて、日々の振り返りを行うことにより、目標達成に導くように設計されています。目標に向かって日々振り返りを行っていくことで、継続的な学習を実現し、その中で新人独自の自己学習方法の獲得を支援していきます。さらに目標をいくつも達成することで、目的を達成することができ、キャリア形成支援に役立てることができます。

少し極端な例ですが、目的を「ノーベル賞をとる」とします。ノーベル賞をとるためには様々な研究で成果をあげ、世の中に多大な貢献をする必要があります。そのため、目標を「いくつもの研究成果を残す」「研究成果を世の中に役立てる」とします。この目標を達成するためにも小さな目標をたくさん達成しなければなりません。そして、目標を達成するために現状を把握し、その問題点を振り返り、対策しなければなりません。このようにして目的に向かって自己学習をすすめていきます。

しかし、新人1人では振り返りをすること困難です。そのため、指導者のコーチングなどによる的確なサポートで、より深い振り返りを行うことができ、効果が高まるといわれています。コーチングしていく上でポートフォリオは有用と考えられています。学習の記録の蓄積・日々の振り返り・定期的な振り返り・長期的(年間)な振り返りをコーチングしていくことで、新人の支援ができるのではないかと考えています。

イメージとして、箱根駅伝ではコーチが選手に定期的に声掛けを行っています。走っている選手に現状を伝達し、現状の振り返ってもらい、次の走行プラン(戦略)を立てます。指導者は、その都度声掛けにより、目標としているタイム・順位を達成できるようにコーチングしていきます。そして、区間ごとでも同様に声掛けを行い、総合的な目標を目指します。最終的な目的として、総合優勝・シード権の獲得などにつなげていくようなイメージです。


コーチングにおける動機づけ

目標・目的を設定した、動機は何なのかをはっきりさせることが重要です。動機づけは4つに分類することができます。

❶「させられて」のやる気:外発的動機づけ
 ➡叱られないように、やれといわれたから、外から強いられた動機づけ

❷「しかたなく」のやる気:取り入れ的動機づけ
 ➡義務だから、不安だから、迷惑かけたくないからなど

❸「大切だから」のやる気:同一化的動機づけ
 ➡勉強は将来にとって重要だから、生活に役立つから、価値が認められることが動機づけ

❹「自分がしたいから」のやる気:内発的動機づけ
 ➡それが楽しい、面白い、好きだから、好奇心があるからなど

目標・目的の設定を行う上で、「同一化的動機づけ」あるいは「内発的動機づけ」に基づいて設定する必要があります。「外発的動機づけ」あるいは「取り入れ的動機づけ」に基づいて設定してしまうと、自発的な学習は期待できず、モチベーションの維持も困難です。そのため、目標・目的の設定の際には、新人とよく対話し、「何を大切と思っているのか」「何をしたいと思っているのか」を明らかにしなければなりません。そのためのヒントが次の「PBPの視点」になります。


コーチングする上で考慮する3つの視点「PBPの視点」

参考:コーチ・エィ: 新版コーチングの基本. 日本実業出版社. 2019.1; p51

Possession(身につけるもの)
どのようなスキル・知識をもっているのか?

Behavior(行動)
どのような行動をしているのか?

Presence(考え方、信念)
どのような信念、価値観、ものの捉え方をしているのか?

ここまでお話しした3つのPBP視点は、それぞれが相互に影響し合ってます。たとえば、PossessionとBehaviorの場合、知識やスキルを利用して行動する関係がありますが、逆に行動することで学び、それがスキルとして備わるということもあります。
PresenceとBehaviorの場合は、人が行動を起こすときに、まず頭で理解して行動を起こすというパターンと、行動することでそのやり方がよいと理解できるパターンがあります。またPossessionとPresenceの場合は、考え方が変わって新しいスキルが必要と思うこともあるでしょうし、スキルが身について、これもできそうだと考えが変わることもあるでしょう。

コーチ・エィ: 新版コーチングの基本. 日本実業出版社. 2019.1; p68.

3つの視点について、もう少し細かくみていきましょう。

Possession(身につけるもの)

目標・課題達成のためには必要となるPossessionには、知識・スキル・仕組み・人脈・資金・資格など、様々なものがあり、それらの中から、目標達成のために自分には何がどの程度必要なのか明確にし、それを獲得するためにコーチングする必要があります。

具体的事例

●臨床での疑問を解決方法がわからない
 ➡ミーティング等で臨床疑問を周りに伝えるスキルも身につける
 ➡文献検索・整理方法等を身につける
 ➡必要な研修会等の探す方法を身につける
 ➡学習した内容をまとめ、臨床に活かすスキルを身につける、など

●患者様とのコミュニケーション
 ➡難しい用語を簡単な用語で患者様に伝えられるスキルを身につける
 ➡コミュニケーション手段を多数身につける(言葉以外に写真・動画や紙面等を有効活用するスキル)
 ➡コニュニケーションが上手くいかなかった事例を振り返れる環境を整える、など

Behavior(行動)

Possessionが揃えば、目標を達成することができるでしょうか?このセッションでは、なぜやり方はわかっているのに行動を起こせない理由について説明します。

❶目標を立てた時点での決断の度合いが低いため行動が起こらない
 ➡そもそも目標が新人が「本当に思っていること」「本当に必要と感じていること」ではない可能性があります。この場合は、対話を重ね「本当に思っていること」を明らかにしなければ、スタート地点に立つこともできません。

❷やる気はあるののの、何をしたらいいのかわからない
 ➡この場合はPossessionが不足しています。目標達成のために足りていない知識・スキルが何かを明らかにして、Possessionを身につけることからスタートします。

❸知識・スキルをどう使ったらいいか、具体的にわからない
 ➡ここでは、なぜ具体的に知識・スキルを使えていないかを明らかにしなければなりません。自己での振り返りを行うとともに、指導者との対話の中で知識やスキルをいつ・何に・どうやって使うか明確できるように支援していく必要があります。

ただ、この段階では知識・スキルが活用できなかったという、具体的な経験をしているため、Kolbの経験学習サイクルによる指導が参考になると思います。

参考:Kolbの経験学習サイクルによる新人教育

❹変化を起こせない
 ➡スキルも意志も十分にあり、実施方法もわかっているのだけども、あと一歩が踏み出せない状態です。ここでは、今までの3つの原因を再確認し、不足している点がないかを明らかにすることが重要です。

Presence(考え方・信念)

価値観、考え方、ものの捉え方といったものです。Presenceは本人が無意識の内に意思決定に大きく影響しています。無意識なために対応も非常に難しいです。極端な例ですが、新人が今まで自分一人で勉強を続けてきて問題を解決し、人に相談した際に失敗していたとします。このような体験から新人が「勉強は一人でやっていった方がいい」という価値観を持っていたとします。当然、社会に出てからも先輩に対して相談することは難しく、指摘を受け入れることは難しいと思います。指導者側も過去にずっと厳しく指導され、間違ってきたことは怒られ続けてきたが、成功してきたとします。そのため「指導は厳しく、間違ったことは怒らなければいけない」という価値観もっていた場合も、同様に厳しく怒りながらの指導になると思います。つまり、過去の成功体験や失敗体験からPresenceは作られます。そのため、無意識の内にPresenceは作られ自覚することが難しいです。そのため指導者は、新人のPresenceを理解し、個々のPresenceに応じてコーチングをすすめなければなりません。

ここで、Preseceにおけるコーチングのポイントを確認したいと思います。

ポイント

❶新人がどんなPresenceをもっているか把握する
❷どのような過去の体験からPresenceが作られたか把握する
❸Presenceが課題に対してどんな影響を及ぼして把握する
❹上記の3点を指導者・新人共に共有し理解する


コーチングの3原則

コーチングの3原則とは、コーチが常に意識している「クライアントとの関わり方」おける、双方向、継続性、個別対応というマインドです。

参考:コーチ・エィ: 新版コーチングの基本. 日本実業出版社. 2019.1; p70.

新人との関わりにおいて、指導者が意識すべき3つの原則で、1つ目は「双方向」、2つ目は「継続性」、3つ目は「個別対応」です。

双方向

双方向の関係とは、目標に向かって「指導」するのではなく、目標に向かって「支援」するような関係です。あくまでも、コーチング(新人指導)の目的は自己主導型学習方法の獲得なので、いかに新人の「気付き」を促し、目標に向かって自立して学習を続けられるように支援する必要があります。

「気付き」を引き出すコーチングのポイント

❶信頼関係を築くこと
 ➡コーチングにおいて一番大事なことだと思います。コーチングが成功する秘訣は「あきらめない」ことと言われています。指導者が「新人は必ず成長していくはず」と信じ続けることが重要です。

❷双方向の会話で「無意識を顕在化」させる
 ➡振り返りを支援することで、客観的に自分を捉えてもらいます。Presenceのような無意識を顕在化させることにより、目標や成長に向けて最も有効な方法の選択、実践、軌道修正ができるように支援します。

❸たくさんアウトプットさせる
 ➡つい新人指導をしていると、指導者の考えを一方的に話してしまうことがあります。しかし、その指導は指導者の「PBPの視点」に基づいた考えのため、必ずしも新人に適応できるかはわかりません。そのため、新人自身にたくさんアウトプットできるような質問を行い、新人の「PBP」を引き出すようにコーチングしていきます。そして、新人自身もアウトプットすることで自己を振り返り、「気付き」を得ることができます。

❹命令や指導で、人は成長しない
 ➡自分自身で「気付き」、自分の意志で決めたこと実践することが、成長につながり自主性のある学びの獲得につながります。コーチングの成功のポイントは、「沈黙の時こそ最高のコーチング」と思えるかどうかです。新人が質問された時に黙ってしまっている時は、自分自身の考えを一生懸命に振り返っている最中です。ここで、指導者が沈黙を我慢できずに言葉を発してしまうと、そこで新人の振り返りは終了し、「気付き」を得ることもありません。新人を信頼していないことにもつながります。どういうことかというと、この「沈黙」ができるのは、「新人は必ず価値のあることに気づくと信じている」と示すことができるのです。

「手取り足取り」の親切な研修である必要はない
 ➡「大事なことは見て盗め!」という言葉があるように、学びの本質は真似ることだと思います。手取り足取りの指導は新人の振り返り機会を奪い、「気付き」の機会をも奪っている可能性があると思います。わからなければ教えてもらえばいいとなってしまってはいけないです。わからないのであれば、なぜわからないのか?わかるために何をすればいいのか?考えさせ、解決方法に自分で「気付き」を得ていくようになってもらう必要があると思います。

継続性

目標を達成するためには、継続し続けられなければなりません。いかに目標に集中し、方向性を間違わず、モチベーションを維持し続けられるかが、重要となります。

継続的に目標に向かうためのポイント

❶新人を目標に集中させる
➡「最後まで諦めなかった人間が成功しているのである」- 世界のバイクシェアのナンバーワンを誇るHONDAを創立した本田宗一郎さんの言葉です。諦めずに継続して行動し続けることが、成功のための重要な要素ということです。継続するために重要なことは、目標を明確にし、目標達成に必要な具体的要素を明確にし、目標達成までのスケジュールを明確にすることです。

❷目標に向けた方向性のズレの修正

参考:コーチ・エィ: 新版コーチングの基本. 日本実業出版社. 2019.1; p86.

➡定期的に振り返りする機会を作ることが重要になります。例えば1年間の目標を立てたとします。1年間の目標を達成するためには、毎月の目標を立てる必要があります。1ヵ月の目標を達成するために、日々の目標(課題)を達成する必要があります。つまり、日々の振り返りをすることでズレの修正を図り、1ヶ月の目標達成に近づくことができます。また1ヶ月の振り返りをすることでズレの修正を図り、1年間の目標達成に近づくことができます。最後に1年間の振り返りを行うことで、年間の目標達成度を把握することができます。このように日々・短期的・長期的が階段上につなげることができれば、年間の大きな目標達成に近づくことができるのではないかと考えています。

参考:振り返りに階層性についての詳細はこちら!

❸モチベーションの維持

参考:コーチ・エィ: 新版コーチングの基本. 日本実業出版社. 2019.1; p88.


➡アメリカの心理学者マズローは、人成長過程と欲求を段階に分類し、下位の欲求が満たされると一段上の欲求充足を目指すようになるという、段階的に説明を行いました。社会的な場において「所属の欲求」や「自我の欲求」を満たす必要があるといわれています。

●「所属の欲求」を満たすアクレッジメント
 ➡アクレッジメント(承認)とは、「あなたがそこにいることに、私は気づいている」と相手にメッセージを伝えること、つまり、相手の存在そのものを認める行為です。普段何気なくしている。「あいさつをする」「名前で呼ぶ」「相談に乗る」「仕事を任せる」「ランチに誘う」なども、アクレッジメントの一つです。簡単にいうと、新人にとって属している組織が安心して存在できる場所を作り、新人の挑戦していることを後ろからそっと支えてあげるような環境を整えることが重要です。

●「自我の欲求」を高める方法
 ➡まず「ほめる」ことが効果的な方法の代表です。その伝え方として3つのスタンスがあります。①YOUメッセージ、②Iメッセージ、③WEメッセージの3つです。①YOUメッセージとは、「あなた(あなたの仕事)は〇〇だ」と相手に伝えることです。②Iメッセージは、相手の行動や存在が自分へどんな影響を及ぼしたかを伝えるメッセージです。「参考になりました。」「もっと詳しく話を聞いてみたいです。」などです。③WEメッセージは、自分たちにどのような影響が及んだかについて言及するメッセージです。「あなたがいると職場の雰囲気がよくなる。」などです。

●振り返り時に、わずかでも成長を伝える
 ➡人は前に進んでいるという実感がないと、継続することは難しいです。そこでどんな些細なことでも成長したところみつけ伝えてあげることが大事です。ただし、具体的に何が成長したかがはっきりしているものを選んでください。

●振り返り時に、目標に向けて何が進み、何が問題かを気付かせる
 ➡自分の行動が目標に向けて正しいものなのか不安に感じるものです。そこで、振り返り時に目標に向けて何が進み、何が問題かを気付かせることが重要です。そのことにより、自分の現在地が明確になり、今後の方向性もはっきりとしてきます。

個別対応

患者様をみる時に、同じ疾患名だからといって同じ介入はしないと思います。患者様の状態に応じた個別の治療プログラムを立案すると思います。コーチングにおいても同じで、新人によってタイプは違います。そのため、新人それぞれに合わせた新人教育プログラムが必要となります。ポートフォリオは個別に作成するために、新人に応じた新人指導をする助けになると思います。

コーチングを「タイプ分け™」に応じて行う手法があります。ただ注意点として、この新人は〇〇タイプだからこの指導方法をしようと当てはめてしまうと、個別性が失われてしまいます。あくまでも、「タイプ分け™」は新人の特徴を捉える目安の一つとしてとらえてください。また一度○○タイプと判断したとしても、常に他のタイプの可能性もあるのではないかと思い指導するようにしてください。

出展:『図解 コーチング流タイプ分けを知ってアプローチするとうまくいく』(鈴木義幸/ディスカヴァー・トゥエンティワン)

❶コントローラータイプ
行動的で、自分が思った通りに物事を進めることを好む。他人から指図されるのをなによりも嫌う。物言いは単刀直入、時に他人から攻撃的であるといわれることもある。
このタイプの人に対しては、こちら側でコントロールしないようにすることが大切。話をするときは結論から、そして相手の攻撃性に戻環されないようにする必要がある。

❷アナライザータイプ
行動に際して多くの情報を集め、分析、計画を立てる。物事を客観的に捉えるのが得意で、小さな達成をこつこつ積み上げていく。大きな変化を要求せず、彼らの変化のペースに歩調を合わせることが大切。
人と関わる時も彼らは慎重で、あまり感情を外側に表さない。むりやり自分の気持ちをいうように仕向けるのは逆効果。

❸プロモータータイプ
自分のオリジナルなアイデアを大切にし、人と一緒に活気のあることをするのを好む。自分ではよく話すが、人の話はあまりきかない。
自分のアイデアに対して非常な自信を持っているため、それを却下するような否定的なアプローチをしないことが重要。独創性を発揮できる自由な環境を与えることが、能力を発揮することにつながる。

❹サポータータイプ
人を援助することを好み、協力関係を大事にするタイプです。周囲の人の気持ちに敏感で気配りに長けています。一般的に人が好きです。自分自身の感情は抑えがちです。また、人から認めてもらいたいという欲求も強いのが特徴です。
一方で彼らは周囲の期待に応えようとするあまり、自分本来の願望を見失うことがある。何を望んでいるかを聞いてあげると、信頼関係が深まる。

「タイプ分け™」は株式会社コーチ・エィの登録商標です。


まとめ

コーチングの考え方の中に、自立を促していくどうすればいいのかのヒントが多くあったと思います。ポートフォリオを使った新人教育も最終的には自己主導型学習方法の獲得を目指します。そのため、コーチング手法の多くはポートフォリオにおける教育にも応用が利くと思います。特に、「気付き」「振り返り」といったコーチング手法は非常に重要だと思うので、是非新人指導の際に参考にしていただければと思います。

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新人教育における自己調整学習の考え方
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Kolbの経験学習サイクルによる新人教育
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参考図書

新版 コーチングの基本
今回のコーチングの流れはこの本を参考にして記事を書いています。
コーチングの基本的な考え方から実践例まで書かれており、コーチングを学ぶ入門書としておすすめです!

ポートフォリオ評価とコーチング手法-臨床研修・臨床実習の成功戦略!

ポートフォリオにおける、コーチング手法について書かれています。コーチングをポートフォリオに具体的にどのように応用していけばいいのかイメージがつきやすくなると思います。

図解コーチング流タイプ分けを知ってアプローチするとうまくいく

コーチングのタイプ別の特徴とそのコーチング手法についてわかりやすくまとまっています。本書は図解で非常に読みやすかったです。

新 コーチングが人を活かす

事例を細かく分け、事例ごとに理論と実践方法が書かれています。実際にこの場面ではどうコーチングすればいいのかが、わかりやすく書いてあり、実践的な入門書となっています。

経営学習論-人材育成を科学する-
組織社会化、経験学習、職場学習、組織再社会科、越境学習の5本柱で内容がまとまっています。特に経験学習の考え方がポートフォリオによく適応できると考え、参考にしました。

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KOB
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リハタマ代表/理学療法士/博士(医療福祉教育・管理)/修士(OMPT))
理学療法士として、回復期・通所リハ・老健・クリニックを経験し、現在もクリニックで臨床を継続しています。主に徒手理学療法を中心に勉強していく中で、体系的に学びたいと思い、修士課程で国際徒手理学療法コース(Orthopedic Manual Therapist:OMPT)を卒業しました。 自分自身も様々な教育を受け、新人指導や科長として施設の運営など教育・管理に携わる機会が増えていきました。そして、教育・管理ってどうするの?臨床ではエビデンス求めるのに、教育・管理に根拠(エビデンス)は必要ないの?って疑問に思い、博士課程で医療福祉・教育管理分野に進学しました。 大学院で学ぶ中で、リハビリテーション分野の教育・管理分野の原著論文の少なさに驚きました。また、自分は大学院で教育・管理を学びましたが、リハビリテーション分野の方々が教育・管理を気軽に学ぶ場がないことに気づきました。 この現状を解決するために「リハタマ」の運営を決意しました。 まだスタートしたばかりの「リハタマ」ですが、メンバーの皆さまとリハビリテーション分野の教育・管理を共に育むことができたら嬉しいです。
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