ポートフォリオとは
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eポートフォリオを利用して、振り返りを習慣化し、主体的な学習を獲得しよー!

KOB
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eポートフォリオの特徴の一つとして、振り返りの習慣化を促すとある。

主体的な学習を獲得していく上で、振り返りを習慣化していくことは重要。

そこで今回はeポートフォリオを利用した振り返りの習慣化の一例を紹介したいと思います!

振り返りはなぜ重要?

医学教育における「振り返り」は

「明確な答えのない複雑な難解な問題に対応するため考えること.その思考のプロセスには目的やあるべき結果が伴う.」

Mann K, Gordon J, MacLeod A: Reflection and reflective practice in health professions education: a
systematic review. Adv Health Sci Educ Theory Pract, 2009, 14: 595-621.

「過去の自分の経験を見直してそこから学びを得たり,診療におけるあいまいで複雑な問題を構造化したりするために,振り返りをツールとして用いる医療者」を省察的実践家と定義し,振り返りを習慣化することは重要である

Schön DA: The Reflective Practitioner How Professionals Think In Action. Basic Books, 1983,
pp12-13.

新人理学療法士職員研修ガイドラインにもポートフォリオと振り返りについて言及されているよー

新人教育で学習する事は膨大であり,一度の口頭指導だけで理解することは困難である.そのため,ポートフォリオを作成し情報の蓄積・整理を行ない,何度も振り返る事が重要である

公益社団法人理学療法士協会: 新人理学療法士職員研修ガイドライン. 公益社団法人日本理学療法士協
会, 東京, 2020.

ではeポートフォリオはなぜ振り返りが促進されていると言われているんだろー?

e ポートフォリオを活用することで,学習者は目標を設定し,それに向けて学習の成果物の作成や自身の学習成果物に対する自己評価や相互評価を行うといった,e ポートフォリオを活用するための活動を繰り返し行うことで,学びの振り返りが促進される

森本康彦, 永田智子, 小川賀代・他: 教育分野におけるe ポートフォリオ. ミネルヴァ書房, 京都, 2017,
pp16-78.

では、実際にどのように振り返りを促していくか見てみましょー

振り返りを習慣化していきましょー

  • 現状把握
  • 目標設定
  • 実践し、現状を振り返りの習慣化
  • 現状から目標に向かう方向性がズレたら、指導者による方向修正(経験学習サイクルを利用して)

現状把握

Possession(身につけるもの)
どのようなスキル・知識をもっているのか?

Behavior(行動)
どのような行動をしているのか?

Presence(考え方、信念)
どのような信念、価値観、ものの捉え方をしているのか?

ここまでお話しした3つのPBP視点は、それぞれが相互に影響し合ってます。たとえば、PossessionとBehaviorの場合、知識やスキルを利用して行動する関係がありますが、逆に行動することで学び、それがスキルとして備わるということもあります。
PresenceとBehaviorの場合は、人が行動を起こすときに、まず頭で理解して行動を起こすというパターンと、行動することでそのやり方がよいと理解できるパターンがあります。またPossessionとPresenceの場合は、考え方が変わって新しいスキルが必要と思うこともあるでしょうし、スキルが身について、これもできそうだと考えが変わることもあるでしょう。

コーチ・エィ: 新版コーチングの基本. 日本実業出版社. 2019.1; p68.

3つの視点について、もう少し細かくみていきましょう。

Possession(身につけるもの)

目標・課題達成のためには必要となるPossessionには、知識・スキル・仕組み・人脈・資金・資格など、様々なものがあり、それらの中から、目標達成のために自分には何がどの程度必要なのか明確にし、それを獲得するために指導する必要があります。

Behavior(行動)

Possessionが揃えば、目標を達成することができるでしょうか?このセッションでは、なぜやり方はわかっているのに行動を起こせない理由について説明します。

目標を立てた時点での決断の度合いが低いため行動が起こらない

そもそも目標が新人が「本当に思っていること」「本当に必要と感じていること」ではない可能性があります。この場合は、対話を重ね「本当に思っていること」を明らかにしなければ、スタート地点に立つこともできません。

やる気はあるものの、何をしたらいいのかわからない

この場合はPossessionが不足しています。目標達成のために足りていない知識・スキルが何かを明らかにして、Possessionを身につけることからスタートします。

知識・スキルをどう使ったらいいか、具体的にわからない

ここでは、なぜ具体的に知識・スキルを使えていないかを明らかにしなければなりません。自己での振り返りを行うとともに、指導者との対話の中で知識やスキルをいつ・何に・どうやって使うか明確できるように支援していく必要があります。

変化を起こせない

スキルも意志も十分にあり、実施方法もわかっているのだけども、あと一歩が踏み出せない状態です。ここでは、今までの3つの原因を再確認し、不足している点がないかを明らかにすることが重要です。

Presence(考え方・信念)

価値観、考え方、ものの捉え方といったものです。Presenceは本人が無意識の内に意思決定に大きく影響しています。無意識なために対応も非常に難しいです。極端な例ですが、新人が今まで自分一人で勉強を続けてきて問題を解決し、人に相談した際に失敗していたとします。このような体験から新人が「勉強は一人でやっていった方がいい」という価値観を持っていたとします。当然、社会に出てからも先輩に対して相談することは難しく、指摘を受け入れることは難しいと思います。指導者側も過去にずっと厳しく指導され、間違ってきたことは怒られ続けてきたが、成功してきたとします。そのため「指導は厳しく、間違ったことは怒らなければいけない」という価値観もっていた場合も、同様に厳しく怒りながらの指導になると思います。つまり、過去の成功体験や失敗体験からPresenceは作られます。そのため、無意識の内にPresenceは作られ自覚することが難しいです。そのため指導者は、新人のPresenceを理解し、個々のPresenceに応じて指導をすすめなければなりません。

Preseceにおけるコーチングのポイントを確認しよー

❶新人がどんなPresenceをもっているか把握する
❷どのような過去の体験からPresenceが作られたか把握する
❸Presenceが課題に対してどんな影響を及ぼして把握する
❹上記の3点を指導者・新人共に共有し理解する

目標設定

当然のことですが、目標設定をしなければ何にむかって学習をするのかわからなくなってしまいます。「何をやり遂げたい(目標)」のかをはっきりさせることが重要です。そして、目標のさらに先には目的があります。つまり「何のために(目的)」学習をするのかをはっきりさせることも同様です。

ポートフォリオにおける目標・目的について以下ように述べられています。

常にビジョン(目的)とゴール(目標)が見えることで目的意識をもって、ぶれずにゴールへむずからの意思で向かうことが可能となります。「何のために(目的)」「何をやり遂げたいのか(目標)」を常に掲げ、俯瞰することで客観的に考えることができ、クオリティの高い成果をもたらします。目標が明確なために、自分が何をどうすべきか、詳細にイメージすることで自身のパフォーマンスが向上するのです。

鈴木敏江:ポートフォリオで未来の教育-次世代の教育者・指導者のテキスト‐. 日本看護協会出版会. 2019.8; p8.

目標設定のためのSMARTの法則

SMARTの法則とは、ジョージ・T・ドラン氏が1981年に発表した目標設定法です。この「S・M・A・R・T」5つの項目に基づいてSMARTに目標設定をすることにより、目標が論理的になり明確になります。

Specific(具体的に)
➡何をやるのか?、誰がやるのか?、いつやるのか?なぜやるのか?を明確にすることです。つまり、目標設定をしたときに5W1Hが明確にすることが重要です。

Measurable(測定可能な)
➡達成が図れない目標は、目標といいません。簡単にいうと、数字で明確に目標設定するということです。一つ例を挙げます。目標を「新人の採用を積極的に行うため、来年度の新人募集の応募件数を10件以上にする」とします。つまり、目標達成は「応募件数を10件以上」にするという、具体的な数で図ることができます。

Achievable(達成可能な)
➡適度にストレッチした目標(頑張ればできるぐらいな目標)を設定することが重要です。簡単すぎては成長に繋がりませんし、難しすぎると諦めてしまいます。もし、難しすぎる目標を達成しないといけない場合、達成可能な目標に細分化する必要があります。細分化した目標を積み重ねることによって、難しい課題を達成できるようにしていく必要があります。

Relevant(成果に基づいて)
➡目標設定は成果に基づいて設定するというものです。目標を達成することで、自分にどのような利益があるか、組織にどのような利益があるかを明確にすることが大事です。目標達成したのに、結局使えない能力だとしたら意味ないですよね。

Time-bound(期限付きで)
➡具体的にいつまでにという期限を設けることがポイントです。

振り返りの習慣化

eポートフォリオのコンテンツを作成する時に、如何に定期的に振り返りを促す仕掛けを作っておく事が大切です。

そして、開始時に十分にコンテンツ内容・使用方法を説明し、指導者・新人共に把握してもらうことが重要となります。

著者が作成したeポートフォリオでは、初回にeポートフォリオ説明会を実施し、「振り返りシート」が一ヶ月おきに自動的に投稿されるようになってるよ。

振り返りにも段階があるよ!

そのため新人がどの段階の振り返りができているか把握することが重要だね。

自分視点の振り返りができていない段階で、YouやTheyの視点をもって振り返りを指導しても上手くいかないかも。

段階に応じて指導していくことが重要だね!

単なる振り返り

学習・経験した内容をただ書いているだけで、実際は「振り返り」をしていない

抽象的な振り返り

学習・経験した内容をメタ認知し、「振り返り」を行っている。しかし、自分のみの視点からの「振り返り」

対話的な振り返り

複数の視点から「振り返り」を行っている。I視点に加え、You視点やThey視点で「振り返り」が行えている

クリティカルな振り返り

視点は、組織、社会などの文脈で相対的に変わりうることを認識しており、批判的吟味ができる

eポートフォリオには、学習してきたことを蓄積・整理されているため、振り返りする時に非常に有用だよ!

経験学習サイクルを利用した振り返り

目標のストレッチ

●懸命に手を伸ばせば届く目標を立てさせる

●成長のイメージを持たせる

●成長を期待していることを伝える

進捗を確認し、相談を促す

●こちらから声をかける

●定期的に個別ミーティングを行いしっかりと聞く

●こまめに時間をとり、取り組みが見えるようにする

内省の促進

●成功失敗の原因を本人に語らせる

●成功失敗のパターンを認識させる

●より良い方向を考えてもらう

ポジティブ・フィードバック

●成功失敗にかかわらず、まずは労をねぎらう

●まず良い点を伝えてから問題点を指摘する

●普段の仕事の中で成長したと感じた部分を伝える

育て上手の指導者は、①「計画を立てるときには、若手がより高い目標に挑戦するように励まし、②「実行」時には、相談しやすい雰囲気を作って仕事の進み具合について確認し、③仕事の成果を「評価」するときには、成功や失敗の原因を考えさせるなど内省を促し、④教訓を引き出したり「改善」する場合には、改善ポイントだけでなく、必ず良い面もフィードバックする傾向にありました。

松尾睦:職場が生きる人が育つ「経験学習」入門. ダイヤモンド社, 2019.11; p167
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リハタマ代表/理学療法士/博士(医療福祉教育・管理)/修士(OMPT))
理学療法士として、回復期・通所リハ・老健・クリニックを経験し、現在もクリニックで臨床を継続しています。主に徒手理学療法を中心に勉強していく中で、体系的に学びたいと思い、修士課程で国際徒手理学療法コース(Orthopedic Manual Therapist:OMPT)を卒業しました。 自分自身も様々な教育を受け、新人指導や科長として施設の運営など教育・管理に携わる機会が増えていきました。そして、教育・管理ってどうするの?臨床ではエビデンス求めるのに、教育・管理に根拠(エビデンス)は必要ないの?って疑問に思い、博士課程で医療福祉・教育管理分野に進学しました。 大学院で学ぶ中で、リハビリテーション分野の教育・管理分野の原著論文の少なさに驚きました。また、自分は大学院で教育・管理を学びましたが、リハビリテーション分野の方々が教育・管理を気軽に学ぶ場がないことに気づきました。 この現状を解決するために「リハタマ」の運営を決意しました。 まだスタートしたばかりの「リハタマ」ですが、メンバーの皆さまとリハビリテーション分野の教育・管理を共に育むことができたら嬉しいです。
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