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ポートフォリオ・eポートフォリオとは

KOB
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はじめに

 リハビリテーション分野において、新人教育は永遠のテーマではないかと思っています。そこで、ポートフォリオを利用することで、新人教育の一助となると考えています。通常の業務で時間が作れない上、昨今の情勢ではコロナの影響で研修会の参加なども難しくなっています。そのため、時間を問わず管理ができるインターネットを利用したeポートフォリオが有用でないかと考えています。当ブログではGoogle classroomを利用したeポートフォリオの紹介をしたいと思います。


ポートフォリオとeポートフォリオとは

 ポートフォリオは、もともと紙ばさみや作品ファイルを意味します。建築家やデザイナー、モデル、カメラマンなど個性や感性、才能などで勝負する人はポートフォリオを持っています。ポートフォリオを見ると、もって生まれた才能、資質など、数値化できない個性や能力などが見えます。

鈴木敏江:ポートフォリオで未来の教育-次世代の教育者・指導者のテキスト‐. 日本看護協会出版会. 2019.8; p6.

ポートフォリオの有用性


Driessen らは、ポートフォリオには3つの機能「①学習者が自らの学びをモニターできること。②教育者がポートフォリオを振り返り(省察)することによるコーチングやメンタリングの側面があること。③学習の成果を蓄積し証拠として挟み込むことで、形成的・総合的評価が可能になること。」があると報告しています。

機能❶

 1つ目の「学習者が自らの学びをモニターできること」は、Kolbの経験学習を習慣化することで、自己主導型学習方法を獲得できるというものです。具体的な職場経験・学習をすることで、蓄積された経験・学習を証拠の記録をポートフォリオに挟み込み、その内容を省察します。そこから、自分の強み弱みを把握し今後のプランを設定します。最後にプランを基に職場での試行や活用をすることで、また「経験➡省察➡概念化➡実践」ことでKolbの経験学習を繰り返すことができます。この過程の中で自己主導型学習方法を獲得できると期待されています。

➡Kolbの経験学習サイクルに関して詳しく知りたい方へ


機能❷

 ポートフォリオの中には、目標シート(ゴールシート、振り返りシート)・評価シート(CEPT、Mini-CEX)・学習の記録(症例レポート、学習のまとめ、参考文献)・外部研修(研修報告書、学会抄録)・日常業務の記録(担当患者数記録、インシデントレポート、患者からのお礼の手紙)など学習・業務等の関わる全てをポートフォリオに挟み込みます。そのため、新人の業務・学習プロセス全体を把握することができるため、より適切なコーチング・メンタリングが可能になると考えられています。


機能❸

 Driessenらは、ポートフォリオ評価はMillerのピラミッドの頂点にあたるDose(行動)を評価できる可能性があると述べています。そして、ポートフォリオ評価の中に下段のすべての項目を含めることにより、Millerのピラミッドのすべてを網羅することができ形成的・総括的評価が行える可能性があると述べています。Show how(表現力)にはOSCE(客観的臨床能力)・Mini-CEX(簡易版臨床能力評価表)、Knows how(応用力)にはCBT(PCを用いた客観試験)・MEQ(改良型記述問題)、Knows(知識)にはMCQ(多肢択一形式)などをポートフォリオ評価に組み込むことが重要だと考えています。

まとめ

 ポートフォリオを利用すれば、学習プロセス全体が把握でき適切なコーチング・メンタリングが可能となり、また形成的・総括的な評価することでき、新人が自己主導型学習方法を獲得することを可能とすると思います。いずれは新人が自立して学習を継続でき、かつそのポートフォリオを活用し次は指導者として活躍することができるのではないかと思います。そのため、ポートフォリオはリハビリテーションの新人教育において有用なツールであると考えています。ぜひ一度ポートフォリオを試してみてください。

参考文献

1) Driessen EW, Tartwijk J, Vleuten C et al. Portfolios in medical education: Why do they meet mixed success? A systematic review. Med Educ 2007b; 41: 1224-1233
2) Kolb D. Experiential learning. Experience as a source of learning and development Englewood Cliffs, NJ: Prentice Hall 1984:21
3)Van Tartwijk J, Driessen EW. Portfolios for assessment and learning: AMEE Guide no. 45. In Medical Teacher. 2009; 31(9)

参考図書

ポートフォリオで未来の教育
この本をもとにポートフォリオのアウトラインを作っています。
具体的な実践の方法が非常にわかりやすくまとまっています。

eポートフォリオ -医療教育での意義と利用法-
eポートフォリオの理論背景はこの本を参考にしています。
eポートフォリオの特徴を教育学に基づいてわかりやすくまとまってます。

教育分野におけるeポートフォリオ
eポートフォリオの概要がまとまっています。どのような理論背景をもとにeポートフォリオが構成されているかが、わかりやすく書いてあります。

ABOUT ME
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リハタマ代表/理学療法士/博士(医療福祉教育・管理)/修士(OMPT))
理学療法士として、回復期・通所リハ・老健・クリニックを経験し、現在もクリニックで臨床を継続しています。主に徒手理学療法を中心に勉強していく中で、体系的に学びたいと思い、修士課程で国際徒手理学療法コース(Orthopedic Manual Therapist:OMPT)を卒業しました。 自分自身も様々な教育を受け、新人指導や科長として施設の運営など教育・管理に携わる機会が増えていきました。そして、教育・管理ってどうするの?臨床ではエビデンス求めるのに、教育・管理に根拠(エビデンス)は必要ないの?って疑問に思い、博士課程で医療福祉・教育管理分野に進学しました。 大学院で学ぶ中で、リハビリテーション分野の教育・管理分野の原著論文の少なさに驚きました。また、自分は大学院で教育・管理を学びましたが、リハビリテーション分野の方々が教育・管理を気軽に学ぶ場がないことに気づきました。 この現状を解決するために「リハタマ」の運営を決意しました。 まだスタートしたばかりの「リハタマ」ですが、メンバーの皆さまとリハビリテーション分野の教育・管理を共に育むことができたら嬉しいです。
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