論文紹介
Instagramによる論文紹介
論文紹介
タイトルをクリックすると論文掲載サイトにリンクしています!
「+」をクリックすると要約が見れます!
ちなみに要約やChatGPTにやってもらってます…
教育学
経験学習
- 熟達理学療法士における成長を促した経験学習サイクルを探究する:教訓と応用
-
本論文では、理学療法士における成長を促すための経験学習サイクルについて探究し、その教訓と応用について考察されている。 研究者らは、熟達理学療法士の経験学習を分析するために、11名の熟達理学療法士を対象にフォーカスグループインタビューを実施した。その結果、熟達理学療法士は、「目標設定、アクションプランの策定、実践、反省」の4つのステップで構成される経験学習サイクルを経験していることが明らかになった。 熟達理学療法士は、このサイクルを通じて、患者のニーズを適切に把握し、治療計画を策定することができるようになり、自分自身の成長を促すことができると考えられる。 研究者らは、この経験学習サイクルの教訓と応用について考察し、理学療法士の教育や臨床実践に応用することができると示唆している。具体的には、理学療法士は、自身の目標設定やアクションプランの策定、実践、反省を通じて、成長を促すことができると考えられる。また、教育プログラムにおいても、この経験学習サイクルを導入することで、学生や新人理学療法士の成長を促すことができるとされる。
自己調整学習
- 看護師の自己調整学習方略尺度の開発
-
この研究では、まず過去の文献から自己調整学習に関する情報を収集し、その情報をもとに尺度の項目を作成しました。そして、看護師に対してこの尺度を用いたアンケート調査を行い、データを分析しました。
その結果、尺度は信頼性が高く、看護師の自己調整学習に関する知識やスキルを測定することができることが示されました。また、看護師が自己調整学習を行うためには、自己評価やフィードバックの重要性、情報の収集や整理、学びのアクションプランの作成などが必要であることが明らかになりました。
これらの結果は、看護師がより効果的な自己調整学習を行うための指導や支援に役立つことが期待されます。また、他の職業分野でも、自己調整学習に必要なスキルや知識を評価するための尺度の開発が有用であることが示唆されました。
自己主導型学習
- なぜ人は自主的に学ばないのか 学びに向かわせない組織の考察
-
学びはこれまで個人のやる気の問題とされてきた。しかし、学ばない人を取り巻く環境には共通する特徴が見られている。本報告書では、4つの組織タイプ別に、個人が自主的に学ぶための職場要因を明らかにした。
2023年3月30日発行
目次
Introduction
人々はなぜ自主的に学ばないのか
学びに向かわない理由は何か
Chapter1
何を学ぶのか、なぜ学ぶのか・学ばないのか
個人における学び行動の考察
Chapter2
人の学び行動に影響する組織の特徴とは
学びを促進する・阻害する組織の考察
Chapter3
学びを後押しする制度や風土とは
学びを促進する組織をつくるための考察
Conclusion
学びの主導権を社員に戻そう
実地指導者・プリセプター
- プリセプター支援者に求められる能力・資質に関する研究
-
【要約】
「プリセプター支援者に求められる能力・資質に関する研究」は、看護師の新人教育を担当するプリセプター(指導者)が持つべき能力と資質について調査した論文です。まず、著者らはプリセプター支援者に必要な能力として、「指導技術の習得」「学習支援」「フィードバックの提供」「自己学習」「人間関係の構築」「職務遂行能力のサポート」の6つを挙げました。また、プリセプター支援者に必要な資質としては、「人間愛」「責任感」「学習意欲」「職務へのコミットメント」「経験・知識の共有」「職場環境への適応力」の6つがあげられました。
次に、著者らは調査結果から、プリセプター支援者が持つべき能力と資質についてさらに詳しく分析しました。例えば、「指導技術の習得」には、新人看護師に合わせた指導方法を身につけることが必要であり、「学習支援」には、新人看護師の自己学習を促すことが求められるという具体的な説明があります。
最後に、著者らはプリセプター支援者の能力と資質を高めるための具体的な取り組みを提案しています。例えば、「指導技術の習得」には、研修や指導マニュアルの提供が有効であり、「人間愛」には、コミュニケーション能力の向上を目指すことが必要であるという具体的なアドバイスがあります。
この研究は、プリセプター支援者に必要な能力と資質について詳しく分析し、今後の新人教育における指導者の育成に役立つ貴重な研究となっています。
- 新任プリセプターの新人看護師指導における困難および困難を乗り越えるための行動と求める支援
-
【要約】
この論文は、新任プリセプターが新人看護師を指導する際に直面する可能性のある困難と、それらを乗り越えるために取るべき行動について説明しています。また、新任プリセプターが求める支援についても述べられています。
論文によれば、新任プリセプターが新人看護師を指導する際には、以下のような困難が生じる可能性があります。
- コミュニケーションの問題:新任プリセプターと新人看護師とのコミュニケーションにおいて、言葉遣いや意思疎通の問題が生じることがあります。
- 指導方法の問題:新任プリセプターは、新人看護師がどのように学び、成長するかを理解する必要があります。しかし、それが難しい場合があります。
- ロールモデルとしてのプレッシャー:新任プリセプターは、自身がロールモデルとなることを期待されています。そのため、自分の行動や言動に対してプレッシャーを感じることがあります。
これらの問題を乗り越えるために、新任プリセプターは以下のような行動を取ることが重要です。
- コミュニケーションスキルの向上:新任プリセプターは、コミュニケーションスキルを向上させることが必要です。また、新人看護師がコミュニケーションの問題を抱えている場合は、個別に対処することが重要です。
- 学習スタイルの理解:新任プリセプターは、新人看護師がどのように学ぶかを理解する必要があります。そのため、新人看護師との関係を築き、彼らの学習スタイルを把握することが重要です。
- ロールモデルとしての責任を理解する:新任プリセプターは、自身がロールモデルとなることを理解し、自分自身が適切な行動をとるように努める必要があります。
さらに、新任プリセプターが求める支援については、以下のように述べられています。
- 指導に関するトレーニングや継続的な教育:新任プリセプターは、指導に関するトレーニングや継続的な教育を受けることで、指導スキルを向上させることができます。
- メンターの支援:新任プリセプターが経験豊富なメンターから支援を受けることは、彼らが成功するために重要です。メンターは、彼らの経験や知識を共有し、指導に必要なスキルを教えることができます。
- アドバイスやフィードバックの提供:新任プリセプターは、経験豊富な同僚や上司からアドバイスやフィードバックを受けることができます。これにより、彼らは自身のスキルを向上させ、問題を解決することができます。
以上のように、新任プリセプターが新人看護師を指導する際には、いくつかの困難が生じる可能性がありますが、適切な行動を取ることでそれらを乗り越えることができます。また、彼らが求める支援を受けることで、彼らのスキルを向上させ、成功することができます。
ポートフォリオ
- 医学部教育においてポートフォリオによるリフレクションの促しが成功した条件(Conditions for successful reflective use of portfolios in undergraduate medical education)
-
「医学部教育においてポートフォリオによるリフレクションの促しが成功した条件(Conditions for successful reflective use of portfolios in undergraduate medical education)」 4人のメンターに対する半構造化インタビューを行い、クラウンデッド・セオリーの原則に従って分析された研究です。
◆リフレクションの定義(リフレクションの考える内省とは?)
リフレクションの目的はパフォーマンスの長所と短所を特定することによって改善の方向性を提供すること。メンターはリフレクションの原因を特定する方法として捉え、なぜそうなるかという問いに答えることと捉えていた。
◆学生の経験や成長を振り返るためのポートフォリオの有効性
ポートフォリオを作成し、振り返りレポートを書くことで、学生が自分自身のパフォーマンスに対して批判的な態度で育み、自分自身の成長を管理するのに役立つ。 ポートフォリオは学生に後ろ向きに体系的に自分の経験を検証することを促すことだけでなく、解決(成長)の方向性を提供する。 なお、振り返りの能力は「能力」「態度」「モチベーション」影響を受ける
◆ポートフォリオによるリフレクションの促しが成功した条件
1.優れたコーチング 2.ポートフォリオの構造とガイドライン 3.適切な経験(十分な多様性と興味深い経験の量)と反省のための材料 4.総括的評価
- 医学教育におけるポートフォリオ-システマティックレビュー(Portfolios in medical education: why do they meet with mixed success? A systematic review)
-
医学教育におけるポートフォリオを成功させる重要な要因が何かを明らかにしようとしたレビューです。 ポートフォリオのコンテンツ作りをする上でまず抑えておくべき大事なポイントが書かれています。 成功するための重要な要因 ・ポートフォリオに取り組む目標を明確にする ・学習と評価の目標を組み合わせる ・ポートフォリオの手順、フォーマット、コンテンツの使用方法を明確に説明する ・情報技術の問題に対して注意を払う ・指導者による指導を行う ・評価基準に応じて、2-3名の評価者によって評価表(評価パネル)を使用し評価する ・ルーブリックを使用する ・ポートフォリオの目的や手順について説明する説明書を用意する ・ポートフォリオのフォーマットの柔軟性を維持する ・ポートフォリオの内容に関して、過度に規定することを避ける ・レポート等が過剰になることを避ける
- 卒後医学教育におけるポートフォリオの活用(The use of a portfolio in postgraduate medical education – reflect, assess and account, one for each or all in one?)
-
論文のタイトル「ポストグラジュエート医学教育におけるポートフォリオの活用 – 反省、評価、記録、それぞれ別々に使用するべきか、あるいは一つのポートフォリオでまとめるべきか?」において、ポストグラジュエート医学教育におけるポートフォリオの使用は、反省、評価、記録といった複数の目的を果たします。しかし、これらの要素を別々のポートフォリオで作成する必要はありません。代わりに、これらの要素を包括的な一つのポートフォリオに統合することができます。 ポートフォリオは、ポストグラジュエートの医学研修生が学習経験、臨床的な出来事、専門的な成長について反省する機会を提供します。達成したこと、直面した課題、得た教訓を文書化し、振り返るためのプラットフォームとなります。反省のエントリーには、個人の洞察、批判的な分析、自己評価などが含まれます。 また、ポートフォリオは評価ツールとしても機能します。研修生の能力や進歩を評価するために活用されます。例えば、実習の評価結果や専門的な成果物をポートフォリオに記録することで、研修の進捗状況や達成度を評価することが可能です。 さらに、ポートフォリオは研修生の行動や決定を追跡するための記録としても役立ちます。倫理的な問題についての反省や対応策、専門的な責任の果たし方など、研修生の行動に関する情報を記録することができます。 以上のように、ポストグラジュエート医学教育におけるポートフォリオは、反省、評価、記録といった複数の要素を包括した一つのポートフォリオで使用することができます。
クリニカルリーズニング
- 作業療法のクリニカルリーズニング評価尺度の開発─内容妥当性の検討─
-
本研究の目的は、作業療法におけるクリニカルリーズニング評価尺度の開発である。この評価尺度は、作業療法士が様々な症例に対する診断や治療計画を立案する際に使用するものである。研究者たちは、この評価尺度の内容妥当性を検討することを目的として、複数の専門家による意見や知見の収集を行った。 研究の過程では、専門家による意見収集に加えて、既存のクリニカルリーズニング評価尺度を参考にして、作業療法に特化した新しい評価尺度を開発した。この評価尺度は、主に4つの領域に焦点を当てている。それは、パーソナル・ファクターズ、社会ファクターズ、環境ファクターズ、およびパフォーマンス・ファクターズである。 研究の結果、開発された作業療法のクリニカルリーズニング評価尺度は、専門家から高い評価を得ることができた。また、既存の評価尺度と比較しても、より詳細で包括的な評価がなされることが示された。 最終的に、この研究の結果は、作業療法士にとって非常に有益なものとなり、症例に応じたより適切な診断と治療計画を立案する上で貴重な情報となることが期待される。
- 作業療法のクリニカルリーズニング評価尺度の有用性─尺度を活用した新人教育における学習者と教育者の経験の分析─
-
本研究では、作業療法において開発されたクリニカルリーズニング評価尺度の有用性について検証し、尺度を活用した新人教育において学習者と教育者の経験を分析した。尺度は、作業療法士が様々な症例に対して適切な治療計画を立てる上で必要なスキルを評価するために使用されるものである。 本研究では、新人作業療法士と経験豊富な教育者の13人を対象に、尺度を用いた新人教育の実践を行った。その結果、尺度を使用することで、新人作業療法士が知識や技術をより効果的に獲得することができたという結果が得られた。 また、尺度を使用することで、教育者は評価の標準化が可能になり、新人作業療法士の成長を客観的に評価することができたという結果も得られた。さらに、尺度を用いた教育プログラムにおいて、新人作業療法士の問題解決能力や臨床思考力を促進することができたことが明らかになった。 研究結果から、作業療法のクリニカルリーズニング評価尺度は、新人作業療法士の教育により有用であることが分かった。また、尺度を用いた教育プログラムが新人作業療法士の臨床思考力や問題解決能力の向上に繋がる可能性があることが示唆されている。これらの結果は、作業療法の分野において、より効果的なクリニカルリーズニングの遂行と、作業療法士の教育に役立つことが期待される。
批判的思考
- 批判的思考態度が結論導出プロセスに及ぼす影響-証拠評価と結論生成課題を用いての検討-
-
この論文は、批判的思考態度が結論導出プロセスに与える影響について検討したものです。具体的には、証拠評価と結論生成の2つの課題を用いて、批判的思考態度が結論導出に及ぼす影響を実験的に調査しました。
研究には、大学生を対象にした実験を行い、被験者には批判的思考態度を測定するための尺度を用いました。その後、被験者には証拠評価と結論生成の2つの課題を与え、結論導出プロセスにおける批判的思考態度の影響を検討しました。
調査の結果、批判的思考態度が高い被験者は、証拠評価課題においてより妥当な結論を導出しやすい傾向がありました。一方、結論生成課題では、批判的思考態度が高くても妥当な結論を導出することが困難であることが示されました。
この研究の結果は、批判的思考態度が結論導出プロセスに与える影響が、課題の種類によって異なることを示しています。証拠評価課題においては、批判的思考態度が妥当な結論導出に有利であることが示されましたが、結論生成課題においては、他の要因も影響することが示唆されました。
- 看護基礎教育における批判的思考態度を測定する尺度の信頼性と妥当性の検討
-
この論文は、看護基礎教育における批判的思考態度を測定するための尺度の信頼性と妥当性について検討したものです。
研究は、看護学生の批判的思考態度を測定するために、批判的思考態度尺度(CTAS)を使用しました。研究は、同時性妥当性、構造妥当性、および信頼性について検証されました。データは、日本の看護学生から収集されました。
研究の結果、CTASは、同時性妥当性、構造妥当性、および信頼性が高いことが示されました。この結果は、看護基礎教育において批判的思考態度を測定するための有用な尺度となり得ます。また、研究は、看護学生が批判的思考態度を身に付けることができるよう、看護基礎教育において批判的思考スキルを教育することの重要性を強調しています。
臨床評価
- 理学療法における臨床能力評価尺度(Clinical Competence Evaluation Scale in Physical Therapy: CEPT)の開発と信頼性の検討
-
この研究は、理学療法学生の実習前の客観的臨床能力試験(OSCE)と、臨床参加型実習の到達度との関連性を調べたものである。研究には、50人の理学療法学生が参加し、OSCEの成績と、実習中の臨床到達度を評価するためのスケールを使用して評価を行った。OSCEは、学生が患者に対して実際に行う臨床的なスキルに焦点を当てた評価である。実習到達度は、学生が臨床実習でどの程度能力を発揮できたかを評価するものである。
結果として、OSCEの成績と実習到達度との間には、強い相関が見られた。つまり、OSCEで高い成績を収めた学生は、実習中にも高い臨床到達度を示した。このことから、OSCEは、実習前に学生の臨床能力を客観的に評価する有用な手法であることが示唆された。
この研究の結果は、理学療法学生の教育において、OSCEが重要な役割を果たすことを示唆している。OSCEは、学生の臨床スキルを客観的に評価し、学習プロセスを改善するためのフィードバックを提供することができる。また、臨床実習の前にOSCEを実施することで、学生がより効果的かつ安全に患者を治療するために必要なスキルを習得することができるようになる可能性がある。
管理学
- フォーカスグループインタビューを用いた病院理学療法管理者に求められる管理運営スキルの抽出
-
本論文では、理学療法士における成長を促すための経験学習サイクルについて探究し、その教訓と応用について考察されている。
研究者らは、熟達理学療法士の経験学習を分析するために、11名の熟達理学療法士を対象にフォーカスグループインタビューを実施した。その結果、熟達理学療法士は、「目標設定、アクションプランの策定、実践、反省」の4つのステップで構成される経験学習サイクルを経験していることが明らかになった。
熟達理学療法士は、このサイクルを通じて、患者のニーズを適切に把握し、治療計画を策定することができるようになり、自分自身の成長を促すことができると考えられる。
研究者らは、この経験学習サイクルの教訓と応用について考察し、理学療法士の教育や臨床実践に応用することができると示唆している。具体的には、理学療法士は、自身の目標設定やアクションプランの策定、実践、反省を通じて、成長を促すことができると考えられる。また、教育プログラムにおいても、この経験学習サイクルを導入することで、学生や新人理学療法士の成長を促すことができるとされる。
ワークエンゲージメント
- 講師のワーク・エンゲージメントに及ぼす経営効果、職場環境、チームワークの影響について
-
この論文では、大学講師の仕事に対するエンゲージメントに影響を与える要因について調査されています。具体的には、マネジャーの効果、職場環境、チームワークが講師の仕事に対するエンゲージメントにどのように影響するかが分析されています。
研究は、インドネシアの大学に所属する112人の講師を対象に行われました。調査は、アンケートによって実施され、回答結果は統計的手法によって分析されました。
研究結果によると、マネジャーの効果、職場環境、チームワークが講師の仕事に対するエンゲージメントに正の影響を与えることが明らかになりました。特に、マネジャーの効果が最も強く、講師の仕事に対するエンゲージメントに大きな影響を与えていました。
この研究結果から、講師のエンゲージメントを高めるためには、マネジャーの効果、職場環境、チームワークの向上が必要であることが示唆されています。また、大学教育機関において、講師のエンゲージメントを高めるための施策について考える上で、マネジャーの役割が重要であることが示されています。
- 行政保健師の離職意図に関連する「仕事の要求」と「仕事の資源」:Job Demands-Resources Model による分析
-
この論文は、行政保健師の離職意図に関する研究であり、Job Demands-Resources Model(JD-Rモデル)を用いた分析を行っています。JD-Rモデルは、仕事の要求(仕事に必要な負荷やストレスなど)と仕事の資源(仕事を行う上でのサポートや補助など)が、労働者のモチベーションやストレス反応に影響を与えるというものです。
研究に参加した行政保健師たちは、仕事の要求として、業務負荷や時間的制約、ストレスなどを挙げ、仕事の資源として、チームワークや社内コミュニケーションの質、業務支援などを挙げました。その結果、仕事の要求が高く、仕事の資源が不十分な場合には、離職意図が高くなることが明らかになりました。
また、研究では、行政保健師の性別、年齢、職務経験なども分析の対象とされました。その結果、女性や若年層、職務経験の浅い者ほど、仕事の要求と離職意図の関係が強かったことが分かりました。
研究結果から、行政保健師の離職意図を減らすためには、仕事の要求を適切に管理し、仕事の資源を十分に提供することが必要であることが示唆されています。また、女性や若年層、職務経験の浅い者には、特に仕事の資源の提供が重要であることが示唆されています。
- 看護師におけるワーク・エンゲイジメントとジョブ・クラフティングがパフォーマンスに及ぼす影響(Job crafting in nursing:Mediation between work engagement and job performance in a multisample study)
-
「Job crafting in nursing: Mediation between work engagement and job performance in a multisample study」は、看護におけるジョブクラフティングの役割について、ワークエンゲージメントと仕事のパフォーマンスの関係を調査し、中介効果を検証した論文です。
この論文では、看護職におけるジョブクラフティングの概念に焦点を当てています。ジョブクラフティングとは、個人が自分の仕事を主体的に再構築し、より意味のある経験を作り出すプロセスです。
著者は、ジョブクラフティングが看護職のワークエンゲージメントと仕事のパフォーマンスの関係においてどのような役割を果たすかを明らかにしています。ワークエンゲージメントは、個人が仕事に没頭し、意欲的に取り組む状態を指し、仕事のパフォーマンスに直接的な影響を与える要素です。
論文では、複数のサンプルを対象にして調査が行われました。その結果、ジョブクラフティングがワークエンゲージメントと仕事のパフォーマンスの関係を中介することが示されました。つまり、ジョブクラフティングは看護師のワークエンゲージメントを高め、それが仕事のパフォーマンスにつながる役割を果たすことが示唆されました。
この論文は、看護職におけるジョブクラフティングの重要性を強調しています。ジョブクラフティングは、看護師のワークエンゲージメントを高め、仕事のパフォーマンス向上に寄与することが示されました。これにより、看護師がより充実した仕事経験を作り出し、組織や患者のケアに貢献することが期待されます。
メンタリング
- 新人看護師におけるメンタリング機能の検討
-
「新人看護師におけるメンタリング機能の検討」という論文は、新人看護師がメンタリングを受けることで、自己実現やキャリアアップにつながる重要性を検討したものです。アンケート調査とインタビュー調査の2つの方法を用いて、新人看護師へのメンタリングを受けた経験のある看護師やメンターとの関係、コミュニケーション能力、効果について調査しました。 研究結果から、新人看護師に対するメンタリングは、職場での自信や意欲の向上、業務遂行能力の向上、キャリアアップへの意欲の増大など、多くの効果があることが分かりました。また、メンタリングを受ける上で重要な要素として、メンターとの信頼関係や、コミュニケーション能力が挙げられました。 この論文の結果から、新人看護師が職場でスムーズに業務を遂行し、成長するためには、メンタリングの支援が必要であることが明らかになりました。さらに、メンタリングにおいては、信頼関係やコミュニケーション能力が重要な役割を果たすことが示されました。これらの結果は、新人看護師を支援するためのメンタリングプログラムの開発や、看護職員の教育・研修に活用することができます。
ストレスマネージメント
- 理学療法学科学生の実習終了後のストレス反応-実習における対人ストレスイベントとレジリエンスに注目してー
-
この論文は、理学療法学科の学生が実習を終了した後に経験するストレス反応について調査し、実習における対人ストレスイベントとレジリエンスの関係を探求しています。
研究では、実習中に学生が経験したストレスイベントと、実習後のストレス反応の程度を測定しました。また、レジリエンスを評価するために、自己報告尺度を用いて学生のストレス耐性を測定しました。
結果は、実習中に経験した対人ストレスイベントが多い学生ほど、実習後のストレス反応が強かったことを示しました。一方、レジリエンスが高い学生は、実習後のストレス反応が軽かったことがわかりました。
この研究から、理学療法学科の学生が実習中に経験するストレスイベントが、実習後のストレス反応に影響を与えることが示されました。また、レジリエンスが高い学生は、ストレス反応を軽減するために有用な資質であることが示唆されました。将来的には、実習プログラムにおいてストレスマネジメントのトレーニングが導入されることで、学生たちのストレスを軽減することができるかもしれません。
リーダーシップ
- 看護師のリーダーシップに必要不可欠な要素システマティックレビュー
-
この論文は、看護リーダーシップに影響を与える要因や教育介入についてのシステマティックレビューです。
研究は、英語で出版された医学データベースから抽出された35の研究を分析しています。研究は、看護リーダーシップに影響を与える要因について、また看護リーダーシップを向上させる教育介入についての知見を取り上げています。
論文によると、看護リーダーシップに影響を与える要因として、個人的な特徴や経験、教育レベル、労働環境、職務要件などがあげられます。教育介入としては、リーダーシップスキルを強化するトレーニングや、リーダーシップに関する知識を提供するカリキュラムなどが挙げられます。
研究者たちは、看護リーダーシップの向上には、個人的な特徴や経験だけでなく、教育や労働環境などの外的要因も重要であることが示されたと指摘しています。また、看護リーダーシップを向上させるための教育介入は、リーダーシップスキルの強化だけでなく、組織的な変革や文化変革にも着目する必要があることが示唆されています。
患者経験価値(PX)
- Patient Experience(PX)評価の意義と展望
-
Patient Experience(PX)は,医療サービスに関する患者の具体的な「経験」を意味する概念であり,Patient Satisfaction(PS)の進化形として,国際的に重要な医療の質指標に位置付けられている.PXの意義に関しては,すでに国内外で多くのエビデンスの蓄積があり,PXが,技術的な医療の質指標と正の関連を示すことに加え,アドヒアランス,セルフマネジメント,受療行動といった患者行動などにも影響を及ぼすことが報告されている.行政機関主導でPXの活用を推進する諸外国と比較し,日本のPX評価の取り組みは,これまで大きく遅れをとっていたが,近年日本でもPX尺度の開発研究やPXを用いた実証研究が活発化しつつある.今後日本でも,医療の質向上のため,幅広い領域かつ臨床・教育・研究の各方面で,PXの評価・活用を推進する必要がある.
- 医療の質の測定における患者経験価値調査の役割を検証(Examining the Role of Patient Experience Surveys in Measuring Health Care Quality)
-
「Examining the Role of Patient Experience Surveys in Measuring Health Care Quality」は、医療の質を測定するための患者体験調査の役割を検証する論文です。
この論文では、患者体験調査が医療の質を測定するためにどのように使用されるかを探求しています。著者は、患者の経験と満足度が医療の品質に与える影響を理解し、患者体験調査が健康ケアの改善にどのように役立つかを明らかにしています。
論文では、患者体験調査が医療の質を測定するための有用なツールであることが示されています。調査は、患者が医療提供者との相互作用や医療環境についてどのように感じているかを評価するために使用されます。また、患者のフィードバックを通じて、医療提供者は改善のための具体的なアクションを取ることができます。
著者は、患者体験調査の結果を医療施設やプロバイダーの評価指標と結び付けることの重要性も強調しています。これにより、患者の視点から見た医療の品質を総合的に評価することが可能となります。
さらに、論文では患者体験調査の課題や限界も取り上げられています。例えば、調査の信頼性や一貫性の確保、文化や言語の違いによるバイアスの影響などが挙げられます。
この論文は、患者体験調査が医療の質の測定において重要な役割を果たすことを示しています。患者の視点とフィードバックを組織やプロバイダーの意思決定に組み込むことで、より質の高い医療サービスの提供が可能となるでしょう。
- 分析と解説:プライマリ・ケアの改善戦略としての患者経験価値の測定(Analysis & commentary. Measuring patient experience as a strategy for improving primary care)
-
「Analysis & commentary. Measuring patient experience as a strategy for improving primary care」は、患者の体験を測定することが初期医療の改善戦略としての役割を果たす方法について分析し、解説している論文です。
この論文では、患者の体験を測定することがなぜ重要かについて議論されています。著者は、患者の視点とフィードバックを通じて、初期医療の品質を向上させるための有効な手段であると主張しています。
論文では、患者体験の測定が医療提供者にとって貴重な情報源であり、医療サービスの改善に役立つことが示されています。患者の満足度や経験は、医療の効果性、アクセシビリティ、コミュニケーション、連続性など、様々な側面での改善の指標となり得ます。
著者はまた、患者体験の測定が初期医療の品質改善に対していくつかの利点をもたらすことも指摘しています。これには、患者中心のケアの促進、医療提供者と患者とのパートナーシップの強化、効果的なコミュニケーションの改善などが含まれます。
論文ではさらに、患者体験の測定における課題や制約事項にも言及されています。たとえば、適切な測定ツールの選択や調査の信頼性の確保、データの解釈と利用における課題などが挙げられます。
この論文は、患者体験の測定が初期医療の品質改善において重要な戦略であることを示しています。患者の声に耳を傾け、フィードバックを活用することで、初期医療の提供者はより良いケアの提供と患者満足度の向上に貢献することができます。
感情労働
- 看護師の感情労働測定尺度の開発
-
この論文は、看護師の感情労働を測定するための尺度の開発について説明しています。
研究者たちは、看護師が感情労働を行うことが多い職業であることを認識し、これを測定するための尺度を開発することを目的としています。研究は、尺度の開発についての質問紙調査やインタビューを行い、看護師の感情労働に関する理解を深めました。
研究の結果、研究者たちは感情労働に関する5つの次元を特定しました。これらの次元は、職務要件、感情の表現、感情の調整、感情の抑制、および感情の共有に分類されます。この尺度は、看護師の感情労働を定量的に評価するために使用できるものであり、看護師の心理的ストレスを減らし、より良い労働環境を作るための支援に役立つ可能性があります。
研究者たちは、感情労働は看護師の仕事の重要な部分であり、尺度の開発は、看護師の労働環境を改善し、より良い結果をもたらすことができると結論づけています。
- 対人援助職における感情労働がバーンアウトおよびストレスに与える影響
-
この論文は、対人援助職における感情労働がバーンアウトおよびストレスに与える影響について調査しています。
研究者たちは、看護師や社会福祉士、心理士などの対人援助職で働く従業員を対象に調査を行い、感情労働がバーンアウトとストレスにどのように関連しているかを分析しました。
調査結果によれば、感情労働はバーンアウトとストレスに大きく関連しており、特に感情の抑制と感情の偽装がストレスとバーンアウトの原因となることが示されました。さらに、調査に参加した対人援助職の従業員の中で、バーンアウトやストレスが高い傾向にある人たちは、感情労働の負荷が高いことが明らかになりました。
研究者たちは、対人援助職で働く人たちが、感情労働によるストレスとバーンアウトに悩まされていることを確認しました。この問題に対処するためには、労働環境の改善、職場での感情労働の負荷の軽減、そして従業員にストレスやバーンアウトの兆候を見逃さないための適切なサポートが必要であることが示唆されています。
- 医療における心理的安全性とエラー報告を促進または阻害する個人的特徴:システマティックレビュー
-
【要約】
この論文は、医療現場における心理的安全性とエラー報告を促進または阻害する個人的特徴に焦点を当てた研究のシステマティックレビューです。著者たちは、過去の研究を調査し、個人的特徴が心理的安全性とエラー報告にどのように影響するかを検討しました。 研究の結果、個人的特徴が心理的安全性に影響を与えることが示されました。特に、自尊心、自己効力感、オープンマインド、感情的知性、そしてチームワークに対する信頼が高いほど、心理的安全性が高まる傾向がありました。一方で、神経質さや完璧主義傾向が高いと、心理的安全性が低下する傾向があることも示されました。 また、個人的特徴がエラー報告にどのように影響するかも調査されました。自己効力感や責任感が高い人ほど、エラー報告の意欲が高くなる傾向がありました。一方で、恐怖や不安が高い人ほど、エラー報告の意欲が低下する傾向がありました。 総合的に、この研究は、個人的特徴が心理的安全性とエラー報告に影響を与えることを示し、将来の研究や医療現場における教育プログラムの開発に役立つ結果となっています。
コミュニケーション
- コミュニケーション・スキルの実践的研究に向けたENDCOREモデルの実証的・概念的検討
-
「コミュニケーション・スキルの実践的研究に向けたENDCOREモデルの実証的・概念的検討」は、ENDCOREモデルを使用してコミュニケーションスキルを測定し、その信頼性と妥当性を検討するための研究です。
研究では、大学生を対象にアンケート調査を行い、ENDCOREモデルの7つの要素に基づいた質問を使用してコミュニケーションスキルを測定しました。その結果、ENDCOREモデルはコミュニケーションスキルを測定するための妥当な枠組みであり、アンケート調査によって信頼性の高い結果が得られたことが示されました。
研究者らはまた、ENDCOREモデルがコミュニケーションスキルを評価する上で有用であることを示す事例も紹介しています。例えば、ENDCOREモデルを使用してコミュニケーションスキルのトレーニングを行い、その後にアンケート調査を行ったところ、コミュニケーションスキルの向上が観察されました。
この研究は、ENDCOREモデルがコミュニケーションスキルの評価やトレーニングに役立つことを示すとともに、ENDCOREモデルが将来的にコミュニケーションスキルを測定するための標準的な枠組みとして使用される可能性があることを示唆しています。
臨床実習
- 理学療法学生における実習前客観的臨床能力試験 (OSCE) と臨床参加型実習到達度との関連性
-
この研究は、理学療法学生の実習前の客観的臨床能力試験(OSCE)と、臨床参加型実習の到達度との関連性を調べたものである。研究には、50人の理学療法学生が参加し、OSCEの成績と、実習中の臨床到達度を評価するためのスケールを使用して評価を行った。OSCEは、学生が患者に対して実際に行う臨床的なスキルに焦点を当てた評価である。実習到達度は、学生が臨床実習でどの程度能力を発揮できたかを評価するものである。
結果として、OSCEの成績と実習到達度との間には、強い相関が見られた。つまり、OSCEで高い成績を収めた学生は、実習中にも高い臨床到達度を示した。このことから、OSCEは、実習前に学生の臨床能力を客観的に評価する有用な手法であることが示唆された。
この研究の結果は、理学療法学生の教育において、OSCEが重要な役割を果たすことを示唆している。OSCEは、学生の臨床スキルを客観的に評価し、学習プロセスを改善するためのフィードバックを提供することができる。また、臨床実習の前にOSCEを実施することで、学生がより効果的かつ安全に患者を治療するために必要なスキルを習得することができるようになる可能性がある。
統計学
- これからの「再現性問題」の話をしよう
-
【要約】 再現性問題とは、研究結果を再現することができないという問題です。これは科学研究において大きな問題となっています。特に機械学習の分野では、再現性問題が深刻であると言われています。 再現性問題を解決するためには、研究結果のデータや方法を公開することが重要です。また、実験の設定やパラメータの設定などを明確にすることも重要です。さらに、研究者同士が情報を共有することで、再現性問題を解決することができます。 また、再現性問題は科学研究だけでなく、ビジネスや社会的な問題にも関わっています。例えば、株式市場や経済予測などの分野でも再現性問題が重要な問題となっています。 再現性問題を解決するためには、データの整合性や方法の明確化、情報共有などが必要です。これらを実践することで、研究結果の信頼性を高め、より正確な結論を導くことができます。
- スコーピングレビューのための報告ガイドライン:日本語版
-
「スコーピングレビューのための報告ガイドライン:日本語版」は、スコーピングレビューにおける報告ガイドラインの整合性が不十分であることを背景に、文献検索、研究の選択およびデータの抽出に関するガイドラインを提供することを目的として、日本語でのスコーピングレビューに関する報告ガイドラインを開発した論文です。この報告書は、透明性、有効性、信頼性、および再現性を確保するために、日本語スコーピングレビューにおける報告忘れたらチーム内でのコミュニケーションの改善に重点を置いています。ガイドラインは、スコープの定義、研究の選択、データ抽出、および結果の報告に関する詳細な手順を提供し、スコーピングレビューを実施するためのフレームワークを提供しています。
- 項目反応理論(IRT)の考え方と実践
―測定の質の高いテストや尺度を作成するための技術― -
項目反応理論(IRT)は、心理テストの項目がどの程度難しいか、または項目がどの程度人々の能力を測定するかを評価するための統計的手法です。IRTは、回答者の能力レベルと各項目の特性を考慮して、テストの信頼性と妥当性を向上させることができます。
IRTの実践には、項目反応関数(IRF)を用いたモデル化が含まれます。IRFは、テストの各項目が特定の能力水準でどの程度の確率で正解するかを表す関数であり、IRTはこの関数を使用してテストの妥当性を推定します。IRTには、1PL、2PL、および3PLの3つの主要なモデルがあり、それぞれ異なる方法で項目の反応をモデル化します。
IRTを使用することで、テスト開発者はより正確に項目を分析し、テスト全体の妥当性を評価することができます。IRTは、教育分野や医療分野など、多くの分野で使用されています。IRTを使用することで、テストの信頼性と妥当性を向上させ、より効果的なテスト開発と評価を実現できます。